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一般社団法人(SH)の清算申告書


事業会社では会社の清算をすることになることは頻繁にないかと思いますので、一般の会計事務所は清算の申告書をしょっちゅう提出することはないかと思いますが(あればあるでどうなんだという感じですが)、ファンドの会計税務をやっていると、1年待たず半年程度で終わってしますファンドも結構あったりしますので、清算の申告書は結構やることになります。

現状のファンドの形態はGK-TKスキームが多いせいか、一般社団法人(SH)の清算申告をすることがあるのですが、かなりややこしかったりします。

 

以下、ややこしい点。

1,基金は、資本金ではなく負債(債務)

2,期限切れ欠損金

3,親法人は100%子会社からの清算損を引き継げなく、子会社の欠損金を引き継ぐ

 

1について、基金は、貸借対照表では資本金と同様に表示されていることが多いのではないかと思われますが、基金は資本金ではなく、負債(債務)になりますので、GK-TKスキームのSHだと、SHは収入が通常ありませんので、諸費用(均等割り含む)の分、債務超過の状態となります。

債務超過の状態では、清算ができないので、基金を債務免除することによって、債務超過を解消させることになります。

債務免除によって税額が発生する場合、利益剰余金をちょうどゼロにしてやらないといけない計算がややこしい点になります。

(基金が負債(債務)となる根拠は、以下の国税庁のHP参照)

https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/bunshokaito/hojin/140527/01.htm

 

2について、平成 22 年度の税制改正により、解散した法人に残余財産がないと見込まれるときは、期限切れ欠損金額を損金の額に算入することができるようになりました。

期限切れ欠損金額は、当該事業年度における法人税申告書別表五()の「期首現在利益積立金額」の「差引合計額 31」欄に記載されるべき金額がマイナス()である場合のその金額から、当該事業年度に損金の額に算入される青色欠損金額又は災害損失欠損金額を控除した金額となります。

申告書でいうと、別表74)で計算してくれということになります。

法人税第59条4項の適用があれば、子会社の出資損も欠損金にできたりします。

 

3について、これまた平成 22 年度の税制改正により、100%子会社の清算損(子会社株式損失)が廃止され、その代わりに親法人が子会社の繰越欠損金を引き継げるということになりました。

GK-TKスキームの場合、GKは、SH100%子会社にするのが通常ですので、該当することがほとんどかと思います。

申告書でいうと別表71)付表に記載しなさいということになります。

 

SHは、上記の3つを考慮して清算申告書を作成しなければならないので、ややこしくなっています。