※2023年12月5日より、「投資事業有限責任組合会計規則」という新たな会計規則ができまして、投資の評価基準が改正されています。
当該記事は、従前の評価基準になります。
詳しくは、「投資事業有限責任組合(LPS)の会計規則の改正で何が変わるの?」という記事で改正内容を記載しておりますので、ご参照ください。
LPSでは、決算書を作成する際に、投資(主に有価証券)の評価をすることになりますが、投資資産時価評価準則という評価基準に、「投資事業有限責任組合における有価証券の評価基準モデル」という大昔(平成10年ごろ?)に太田昭和監査法人(新日本監査法人の前身)が作成したものを多く採用しています。
大昔に作成されたものがいまだに流通しているのは、経済産業省が公表しているLPS契約の雛形に採用されているためかと思います。
上場企業がLPSに出資していたり、LPSが上場企業の連結対象なんかになったりすると、上場企業では、有価証券の評価は、金融商品会計基準によって評価することになるので、LPSでは、投資資産時価評価準則の決算書と金融商品会計基準の決算書の2つを作成しなければならなくなるという面倒なことも生じてしまいます。
しかも、契約書が投資資産時価評価準則となっているため、金融商品会計基準の決算書は監査対象外になるという。。。
金融商品会計基準に統一すればいいじゃないと思ってしまうのですが、いまだにLPS契約書の雛形に投資資産時価評価準則があるおかげで、契約書に太田昭和が作成した基準で評価しろとなっているため、しぶしぶやっているのが現状ではないかと思います。
契約書を作成する弁護士さんも会計がわからんから、あんまりいじりたくないのだろうなと。
そんなLPSの時代遅れの評価基準なのですが、このほど、日本公認会計士協会から、業種別委員会実務指針第38号「投資事業有限責任組合における会計上及び監査上の取扱い」を改正する公開草案が、2023年3月23日に公表されました。
改正は、投資運用会社(プライベートエクイティ又はベンチャーキャピタル)におけるIFRSに基づく未公開株式の公正価値測定に係るガイダンスである「International Private Equity and Venture Capital Valuation Guidelines」(以下「IPEVガイドライン」という。)が組合契約に定める投資の評価方法(以下「投資資産時価評価準則」という。)として採用されているベンチャーキャピタルファンドの投資評価に係る監査実務に資するために実施するものとのことです。
改正の背景には、近年では我が国においても、投資資産時価評価準則としてIPEVガイドラインを採用するファンドが見られるようになったとのことです。
日本基準の場合でも、IFRS(国際会計基準)ベースのガイダンスで投資評価を行うというのも、なんだかなという感じです。
金融商品会計基準で評価するということではいけないのでしょうかね。
日本は、毎年のようにIFRSに合わせられることを強要されておりますが、その影響なんでしょうか。
LPSを特殊な会計にしないで、他の会計ルールと統一いただけたら実務も楽になるかと思うのですが。