令和4年度税制改正により、帳簿を保存しなかったり、帳簿の記載が不十分であると、過少申告加算税・無申告加算税の加重措置が講じられました。
具体的には、帳簿が不十分な場合、税務調査で申告漏れ等があれば、さらに5~10%追加で税金取るよということになるようです。
帳簿がそもそもないというのは、問答無用で10%加算となります。
国税庁から「帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置に関する Q&A」というものが公表されていました。
この措置は、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する申告所得税、法人税・地⽅法人税、消費税について適⽤されます。
個人事業主だと、令和5年度(2023年)の確定申告から適用となります。
とはいうものの、帳簿が不十分とは、一体どのような状態をいうのかというと。。。
国税庁は、「法人又は個人事業主は、取引の年月日・相手⽅・⾦額等といった取引内容が整然とかつ明瞭に記録された帳簿の備付け及び保存をする必要があり、例えば請求書の控え等を雑然と袋や箱に随時入れてまとめておくといった⽅法のように、単に保存されているだけの状態である請求書・領収書の控え(写し)等は、帳簿として認められません。
ただし、取引の年月日・相手⽅・⾦額が記載された請求書の控え(写し)等の書類を、その年月日順に整理して保存する等、帳簿に相当する規則性を有する形で保存している場合には、調査に必要な帳簿として取り扱うこととしています。」と記載しています。
消費税法では、帳簿の記載として、仕入税額控除の適用を受けるためには、法定事項が記載された帳簿および請求書等の保存が要件とされています。
法定事項が記載された帳簿とは以下をいいます。
1,課税仕入れの相手方の氏名または名称
2,課税仕入れを行った年月日
3,課税仕入れに係る資産または役務の内容
4,課税仕入れに係る支払対価の額
まとめると、消費税も考慮に入れると、不十分でない帳簿といえるには、会計ソフトを使用している場合には、上記の2と4は伝票で入力しますので、摘要欄に、取引の相手方、取引の内容を記載していれば、とりあえずは不十分な帳簿とは認定されないものと思われます。
逆に言うと、摘要欄に、取引の相手方や取引内容に記載がない仕訳について、不十分と言われてしまう可能性があるということになると思われます。
ちなみに、摘要欄には、使用月や期間を記載すると、未払金などの漏れ等、後で見直しする際に役に立ちますので、記載することをお勧めしてます。
ex)電気代6月分、顧問報酬1月~6月
個人的に、会計ソフトを使用していない法人や個人事業主の方を見たことがないのですが、白色申告で申告されている方は、エクセル等で帳簿らしきものを作成されていたりするのでしょうか。
外資の会社で、海外で作成したIFRS基準の帳簿を、エクセルで日本の税法基準に修正して、それを帳簿としているという会社は見たことはありますが。
JDLでは無料の会計ソフトがあったりしますし、弥生会計オンラインでは、最大2年無料で使用できたりしますので、会計ソフトに、そんなにコストはかからないので、事務処理上の便宜からも、会計ソフトを使用した方がよいかと思います。