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在庫(棚卸資産)のオフバランス


三菱UFJ銀行が企業の在庫を一時的に買い取る新会社を設立したという記事が日経新聞に出ていました。

この新会社は、MUFGトレーディング株式会社という三菱UFJ銀行の100%出資子会社で、企業がこの新会社に在庫を引き取ってもらい、必要になれば買い戻せるというサービスのようです。

会計的には、在庫(棚卸資産)のオフバランスができるかどうかという問題になりそうです。

 

新会社設立の目的として、「グローバル化の進展や足元の地政学リスクの拡大に伴い、お客さまを取り巻く経営環境は急激に変化しております。特に、グローバルベースでの商取引を行われているお客さまは、原材料調達などのサプライチェーンの構築・高度化への対応が急務となっております。こうした企業の経営課題の解決に貢献すべく、今般、お客さまの商品や原材料の購入および売却を通じた新しい貿易金融のサービスを提供する」とプレスリリースを出しています。

 

日経の記事では、「新会社を使った取引が監査法人に認められれば在庫を資産から切り離すことができ、企業財務への影響を和らげながら必要な在庫を確保しやすくなるとみている。」とのことですが、監査法人によって判断が異なるということになれば、問題がおきそうです。

税務的にも、売買取引と金融取引では、消費税の扱いが異なるので、取り扱いに困ります。

買い戻し特約があらかじめ付されていれば、在庫を担保にした借入という性質になるかと思われますので、会計的には金融取引として、在庫のオフバランスはできそうにないように思うのですが、税務的には売買取引として処理できるのでしょうか。

この新会社が在庫リスクをもつことはないと思われますし、オフバランスと認められるようにするには契約書を工夫する必要がありそうです。

 

オフバランスの問題として、在庫の価格を操作することにより、利益操作ができてしまいそうな感じがします。

ビックカメラ事件(会計上は金融取引となり、税務上は売買取引となった事例)と似たような感じがしますね。

このような新たな金融サービスについては、会計と税務の両面から検討しないといけません。